彼には選択はない。好きも嫌いもない。

OSHO

好きも、嫌いも自我(エゴ)故にある。そしてエゴはひどく苦しむ。

エゴがなければ、それは好き嫌いの問題ではない。人は、この世をそよ風のように動く。北へ行こうなどとは思わない、どんな好きも嫌いもない、どこであれ、自然が連れて行く所へ行く。手離しだ。自然の流れが北へ向かえば、風は北へ向かって吹く。自然が変化して南へ向かって流れれば、風は南へ向かって吹く。風には自分の選択などない。

道(タオ)の人には、自分の選択はない。河が流れて行く方へ、どこへでも一緒に流れて行く。決して河を押したり、それと闘ったりはしない。彼には選択はない。好きも嫌いもない。

理解できないために、彼にも好き嫌いがあるように思われるかも知れない。あなた方は、この雲が北へ向かって動いているのだと思うかも知れない。この雲が、自分で選んで、自分で北へ向かうことを決めて、北に向かっているのだと解釈することもできる。

だがそれは違う。雲にはどんな選択もない。

(OSHO「信心銘」p306)