頭の中に作った物語を繰り返し生きることになってしまいます

藤田一照

一般的に能力といえば、何かを成し遂げるための能動的能力、いわば「ポジティブ・ケイパビリティ」ばかりが評価されます。そういう風潮の中では、「問題」を少しでも早く解決しようと焦ってドゥーイング・モードを起動させることが当たり前になってしまいます。

しかし、それでは将来のことや過去のこと、つまり自分の頭の中で考えたことばかりに心が向いてしまい、今ここで実際に起きていることがほとんど体験できなくなります。

そして、世界を直接的に体験して自分の人生を自由に生きるのではなく、頭の中に作った物語を繰り返し生きることになってしまいます。

目覚めるということは、そのような思考の世界からはっきり覚めて、現実にしっかり足をつけて生きるということでもあるのです。

(藤田一照「ブッダが教える愉快な生き方」第3章)