体への気づきの訓練を始めるとまもなく、突然思考はぱっと現れてくることでしょう。自分が意図しなくても思考は起こります。
その思考に気づいたとき、それに関心を払わず、気にかけず、ただその思考を手放し、体の動きに戻るならば思考は自然と消え去っていきます。
思考もまた無常であり、ずっと同じ状態ではありませんし、完全にコントロールすることは誰にもできません。気づきによって、思考は本当の自分自身ではない、ということが見えてくるようになります。
それらは幻想であり、何度も繰り返し姿を変えては現れる心の状態に過ぎないと観えたとき、思考に惑わされることはなくなります。
しっかりとした気づきをもって心がその思考から離れていくのを感じると、その思考に関心がなくなり、思考に力をもたせずにいられるようになります。心がもたらすさまざまな状態にとらわれることがなければ、心に安全な状態が生まれてきます。
(カンポン・トーンブンヌム「「気づきの瞑想」で得た苦しまない生き方」p115)