私たちはいつも心で現象をつかんでいて、執着したり文句を言ったり、好き嫌いで反応しては苦を発生させてしまいます。全部自分の思い通りに、気に入るようにしたい、という人は必ず他人とトラブルを起こすでしょう。
また人生には、どうにもならない、不可抗力の出来事が起きてしまうものです。そんな時には、ただ苦しいだけなのです。
そこにヴィパッサナー瞑想を組み込むことで、心のプログラムが書き換えられ、物の見方も発想も根本から心の構造改革がなされ、別次元の意識モードで生きていくことが可能になるのです。
思わしくない現象があってもまったく心が乱れない、ドゥッカ(苦)のない、最良の人生が展開していくでしょう。
起こるべくして起こる一切の現象を静かに受容しながら、自分の運命に悠々と従っていくということです。
「与えられものをことごとく受け取っていくことが、最良の人生なのだ。誰にとっても、自分を磨いていくのに最もふさわしいものが与えられている。私は私に与えられたこの人生でやっていく・・・」と、ヴィパッサナー瞑想の目指している方向に分け入っていけば、人生に一大革命が起きるでしょう。
(地橋秀雄「実践 ブッダの瞑想法」p111)