つまるところ、生命とは、無常の法則によって流れるだけのことです。
生きるという苦しみは、すべての生命にあるものです。川のたとえで考えれば、流れるボールはときには激しい波に当たったり、渦巻きに巻き込まれたり、岩にぶつかったり、あるいは穏やかに美しく流れたりと、さまざまな形をとりますが、流れることそのものには変わりがありません。
生命もそれとおなじで大きな荒波をかぶるときもあれば、スムーズに流れたりすることもあります。基本的に生きることの苦しさは平等ですが、その苦しみの中身は人それぞれに違うということです。これは避けられない法則です。
結局、すべての生命は、”苦”という流れに巻き込まれているので、そこに特定の生命が偉いとか、他の生命は惨めだなどという差別は成り立たないのです。
生命である限り、人はただその苦の流れに乗って意味もなく目的もなく苦を回転しながら生きていくだけのことです。
(アルボムッレ・スマナサーラ「小さな「悟り」を積み重ねる」p139)